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2019年11月

2019年11月30日 (土)

「神が創造された全てのいのちを抱きしめる ~教皇フランシスコの東京ドームミサの説教を視聴して感じたこと~」

「神が創造された全てのいのちを抱きしめる ~教皇フランシスコの東京ドームミサの説教を視聴して感じたこと~」

今日、11月25日に行われた教皇フランシスコによる東京ドームミサを視聴しました。臨場感あふれるコンサートのような会場を、教皇フランシスコは神の道化師のごとく、笑顔を振りまいてパパモービルで廻り、多くの幼な子たちのいのちに祝福の接吻をされました。”神の道化師”とは、教皇の名前のもとになったアシジの聖フランシスコの呼び名のひとつです。まるで演劇を見ているかのような錯覚に陥りました。教皇は異例なほどに多くの幼な子に祝福の接吻をされることで、日本の未来のために希望のしるしを置き、神への嘆願をされたのだと思います。

東京ドームのミサは、日本のカトリックでよく行われる国際ミサのスタイルが取られ、日本語と各国語(南米、フィリピン、韓国、英語、中国語、ラテン語など)の聖書朗読や聖歌が用いられました。グローバルなカトリックの兄弟的連帯が表現されます。韓国語の共同祈願が行われ、韓国語の聖歌(アニュス・デイなど)が歌われ、東京韓人教会の方々が多数参加されたことは、日本社会に向けて、朝鮮半島の人々の尊厳を示し、日韓のクリスチャンの兄弟的連帯のしるしのアピールになったのではないでしょうか。

ミサの第一朗読で創世記の天地創造の話が読まれ、神が創造された世界の美と被造物のいのちの善が思い起こされました。神が創造された世界といのちは、極めて善いものでした。

教皇は説教で、高度に発展した社会でありながらも病んでいる部分を持ち、分裂的で孤立感と閉塞感を抱える日本社会を観想的に洞察した後、次のように語りました。

”孤立し、閉ざされ、息ができずにいるわたしに抗しうるものは、分かち合い、祝い合い、交わるわたしたち、これしかありません(「一般謁見講話(2019年2月13日)」参照)。主のこの招きは、わたしたちに次のことを思い出させてくれます。「必要なのは、『わたしたちの現実は与えられたものであり、この自由さえも恵みとして受け取ったものだということを、歓喜のうちに認めることです。それは今日の、自分のものは自力で獲得するとか、自らの発意と自由意志の結果だと思い込む世界では難しいことです』」(使徒的勧告『喜びに喜べ』55)。それゆえ、第一朗読において、聖書はわたしたちに思い起こさせます。いのちと美に満ちているこの世界は、何よりも、わたしたちに先立って存在される創造主からのすばらしい贈り物であることを。「神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ、それはきわめてよかった」(創世記1・31)。与えられた美と善は、それを分かち合い、他者に差し出すためのものです。わたしたちはこの世界の主人でも所有者でもなく、あの創造的な夢にあずかる者なのです。”

教皇フランシスコは、創世記(1・31)の「神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ、それはきわめてよかった」を思い起させてくれます。神が創造されたすべてのいのちは善でした。それはまさに、”平和と善”(Pax et Bonum)を挨拶の言葉として用いていたアシジの聖フランシスコが歌った被造物の賛歌(太陽の賛歌)につながるものです。神の創造されたいのちの善を受け入れ、信じることは、神の創造の夢にあずかることだと教皇は言われます。

”主はたたえられますように!すべてのいのちによって!”

私は30代に北海道のトラピスト修道院で2年間生活し、調理場で働いた際、常に神と共にある観想的な祈りと労働の生活の中で、不思議なことですが、霊と心が全世界に向けて開かれていき、創造された世界の美と、いのちの善を直観的に強く感じました。神が私に創造された世界の真実を理解させてくださったのだと今も感じています。

あの時、私は確かに歌っていました。

”主はたたえられますように!創造された世界の美とすべてのいのちの善によって!”

あの直感は、今も私の人生観の変わらぬ土台のひとつになっています。

教皇は続けて話されます。

”キリスト者の共同体として、わたしたちは、すべてのいのちを守り、あかしするよう招かれています。知恵と勇気をもって、無償性と思いやり、寛大さとすなおに耳を傾ける姿勢、それらに特徴づけられるあかしです。それは、実際に目前にあるいのちを、抱擁し、受け入れる態度です。「そこにあるもろさ、さもしさをそっくりそのまま、そして少なからず見られる、矛盾やくだらなさをもすべてそのまま」(「ワールドユースデーパナマ大会の前晩の祈りでの講話(2019年1月26日」)引き受けるのです。わたしたちは、この教えを推し進める共同体となるよう招かれています。つまり、「完全でもなく、純粋でも洗練されてもいなくても、愛をかけるに値しないと思ったとしても、まるごとすべてを受け入れるのです。障害をもつ人や弱い人は、愛するに値しないのですか。よそから来た人、間違いを犯した人、病気の人、牢にいる人は、愛するに値しないのですか。イエスは、重い皮膚病の人、目の見えない人、からだの不自由な人を抱きしめました。ファリサイ派の人や罪人をその腕で包んでくださいました。十字架にかけられた盗人すらも腕に抱き、ご自分を十字架刑に処した人々さえもゆるされたのです」”

教皇は私たちに呼びかけます。神が創造された全てのいのちが善だと信じるなら、すべてのいのちを抱擁し、受け入れなさい、と。教皇は、いのちの受容と社会的包摂を聖書的な理解と観想的視点から日本社会に示されました。この教皇の呼びかけは、とても高度で難しそうに感じますが、とても身近な問題として、常に日々の小さな出来事の中で、日常的に実践できる課題でもありますね。

自分も含め、自分の周囲で出会う人々ひとりひとりの弱さと不完全さと罪の中でも、赦しと和解の中で、神が創造されたすべてのいのちの善を信じ、抱きしめ、受け入れ、常に大切にするという心です。

その時、気付かなくても、私たちは、神の創造の計画の神秘にあずかり、創造の計画の夢に協力していくことになるのだと思います。

”主はたたえられますように!すべてのいのちの善によって!”

「教皇フランシスコの説教 東京ドーム 2019年11月25日、東京 」
https://www.cbcj.catholic.jp/2019/11/26/19845/

「天の国(パライゾ)を生きる~教皇フランシスコの長崎でのミサの説教を視聴して思うこと~」

「天の国(パライゾ)を生きる~長崎教皇ミサの説教を視聴して思うこと~」

11月24日、長崎の教皇フランシスコによる午後のミサは、午前中の強い風雨から一転、晴れ間も見える祝福と喜びに満ちたものとなりました。この日はカトリックの典礼では「王であるキリストの祭日」でした。教皇の説教は、長崎の殉教者の群れの信仰の証しと流された血を思い出させるもので、特に、殉教者たちが望んだ「天の国」を観想させるものでした。聖パウロ三木他日本26聖人たちが西坂の丘で木の十字架に磔になりながら、天を見上げて夢見た「天の国(パライゾ)」。戦国時代の日本の聖人たちは、天国(パライゾ)を望み、天国(パライゾ)を生きたかったのです。

天国(パライゾ)を生きるとは、現実から離れて、お花畑を夢想することですか?そうではないはずです。この「お花畑」という言葉は、日本の極右・保守の人々が、ネット上で左派の公共政策や軍縮・外交政策などを攻撃する言葉としてしばしば用いられています。しかし、どうですか?真の天の国(パライゾ)を生きるとは、右でも左でもない、イデオロギーには縛られないものであり、ましてや、お花畑でもない、地上において創造主である神の思い、神の夢を実現していくことではないですか?カトリック信仰の中から見出せる「天国(パライゾ)、神の国」について、長崎のミサで教皇フランシスコは次のように話されました。

「天の国は、わたしたち皆の共通の目的地です。それは、将来のためだけの目標ではありません。それを請い願い、今日からそれを生きるのです。病気や障害のある人、高齢者や見捨てられた人たち、難民や外国からの労働者、彼らを取り囲んで大抵は黙らせる無関心の脇で、今日それを生きるのです。彼らは皆、わたしたちの王、キリストの生きる秘跡なのです(マタイ25・31-46参照)。なぜなら「もしわたしたちが本当にキリストの観想によって出発したのであれば、あのかたがご自分を重ねたいと望んだ人たちの顔に、あのかたの姿を見いださなければならない」(聖ヨハネ・パウロ2世使徒的書簡『新千年期の初めに』49)からです。」

教皇は言われました。「今日からそれを生きるのです。」

信仰を持って決意し望むならば、天国(パライゾ)を今日、生き始めることができると教皇は言われます。天上の永遠の天国(パライゾ)を望み、地上で天国(パライゾ)を生きる。それはお花畑の夢想ではなく、王であるキリストが望んだ「神の国」を地上で望み、私たちの日々の生活の中に見出しながら生きていくことですね。

教皇は、長崎の殉教者たちの夢見た「天の国(パライゾ)」を、今の時代に新たに思い起こさせてくださいました。

「教皇の説教 王であるキリストの祭日のミサ 長崎県営球場(長崎ビックNスタジアム) 2019年11月24日、長崎」
https://www.cbcj.catholic.jp/2019/11/24/19822/

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